半日でベタつく根元に:脂性頭皮を整える洗い方のコツ
半日でベタつく根元に:脂性頭皮を整える洗い方のコツ
シャンプーした翌日にはもう髪がベタついてしまう…そんな風に感じていませんか?過剰に皮脂が多い頭皮は、多くの人にとって悩みの種です。頭皮は本来、皮膚や髪に潤いを与えるために皮脂を分泌していますが、人によっては皮脂腺が活発すぎる場合があります。その結果、髪がすぐにペタッとなったり脂っぽく見えたり、頭皮を触るとベタつきを感じたりします。頭皮が脂っぽくなるのは、多くの場合体質(遺伝)やホルモンの影響です。例えば思春期やホルモンバランスが変化する時期には、皮脂腺が活発になりがちです。ストレスや食生活も、皮脂の分泌に多少なりとも影響を与えることがあります。皮脂は頭皮の健康に必要なものですが、過剰に分泌されるとトラブルの原因になりかねません。
余分な皮脂は髪をペタンとさせるだけでなく、頭皮上の微生物の栄養源にもなります。マラセチア菌という酵母の一種は脂っぽい環境で繁殖しやすく、増えすぎるとフケや炎症の原因となります 。頭皮が非常に脂っぽい人にフケやかゆみが生じやすいのはそのためです。過剰な皮脂がフケの原因菌にとってまさにビュッフェ(食べ放題)の状態になってしまうのです。さらに最近の研究では、脂性の頭皮では細菌のバランスも変化することが示されています。ある研究によれば、脂漏性のフケ症がある頭皮では、健康な頭皮に比べてスタフィロコッカス属の細菌が非常に多く、一方で通常多く見られるクチバクテリウム属の細菌が少なかったと報告されています 。つまり、皮脂の過剰は頭皮の微生物環境(マイクロバイオーム)を変化させ、炎症や頭皮の吹き出物(ニキビ)の一因となる可能性があるのです。
では、根元がすぐ脂ぎってしまう場合、どう対処すればよいでしょうか。ポイントは、皮脂を落としすぎずにコントロールできる正しい洗髪習慣と製品選びです。皮脂の多い人には、皮膚科医は洗髪回数をやや増やす(場合によっては毎日でも)ことを勧めることがあります。ただし刺激の少ないシャンプーを使い、頭皮を必要以上に乾燥させないようにすることが重要です(強すぎる洗浄は頭皮に刺激となり、逆に皮脂の分泌が増えてしまうことがあります)。脂性頭皮向けの「クレンジングシャンプー」などは、皮脂や蓄積物をしっかり落とす成分が含まれているので、一度試してみる価値があります。コンディショナーを使う場合は、髪の中間から毛先を中心に塗布し、頭皮にはつけないようにすると、根元への余分な油分を避けられます。洗髪の合間には、ドライシャンプーやパウダーを根元に使って皮脂を吸着させるという方法もあります。これなら手早くベタつきを抑え、ボリュームを出す効果も期待できます。
また、頭皮の脂っぽさを悪化させる要因にも気を付けましょう。例えば、しょっちゅう髪や頭皮に触ると、手の皮脂が移ってしまいます。油分の多いスタイリング剤やシリコン成分の多い製品は、皮脂と混ざり合って髪をさらに重く見せてしまうことがあります。髪を頭皮から離すようなヘアスタイル(例えば緩めのアップスタイル)にすると、根元がベタついて見えにくくなることもあります。そして最後に、頭皮の皮脂量は季節や年齢によって変わることも覚えておきましょう。夏の暑い時期に皮脂が増えたり、年齢とともに皮脂分泌が落ち着いてきたりする人もいます。正しいケアを続ければ、生まれつき皮脂が多い髪でもすっきりとした状態を保てます。要は、洗浄と頭皮の潤い保持のバランスを取ることなのです。