ブリーチ後のゴワつき対策:ケミカルダメージの応急処置と再生ケア
ブリーチ後のゴワつき対策:ケミカルダメージの応急処置と再生ケア
新しいヘアカラーや思い通りのストレートヘアは魅力的ですが、それを可能にする化学薬品は髪に負担をかける場合があります。化学的なダメージとは、ブリーチ(脱色)やパーマ、縮毛矯正、頻繁なヘアカラーリングなど、強い薬剤を使った処理によって髪に生じる損傷のことです。ブリーチの後に髪がワラのようにパサパサになったり、縮毛矯正の後に切れ毛が増えたりした経験があるなら、それは化学ダメージによるものです。これらの処理では髪の内部構造そのものを変化させます。例えばブリーチでは髪のキューティクル(表面の鱗状の層)を開き、中のメラニン色素を分解しますが、その際に髪の構造を支えるタンパク質の結合も切断してしまいます。実際、ヘアスタイリスト曰く、過酸化水素やアンモニアを使うブリーチは、化学処理の中でも特に髪を傷める施術の一つだそうです 。特定の髪色にするには必要な工程ですが、それ自体が髪の強度を大きく低下させてしまうのです。
化学的にダメージを受けた髪は、タンパク質の構造が傷ついた状態にあります。健康な髪は強固なシスチン結合(ジスルフィド結合)によって内部構造がしっかり支えられています(梯子の段のようなイメージです)。しかしブリーチやパーマ、矯正などの処理で、その結合の多くが切断されてしまいます。その結果、髪は弾力や強度を失います。ダメージを受けた髪は、濡れると伸びて切れやすくなり、手触りがザラザラして絡まりやすく、染めても色落ちしやすいといった状態になります。また、キューティクルが浮き上がったり欠けたりしているため、光を反射せず艶がなく見えることもあります。
では、髪が“化学的にボロボロ”になってしまった場合、どうすればいいでしょうか。まず大切なのは、髪に栄養と補強を与えてあげることです。集中的なコンディショナーやタンパク質配合のヘアマスクは、一時的に髪の隙間を埋め、手触りを滑らかにするのに役立ちます。さらに、最近ではこの種のダメージに特化した新しい技術も登場しています。ボンドビルダーと呼ばれる特殊な処理で、オラプレックスに代表されるような製品は、分子レベルで切れたジスルフィド結合を再結合させる働きがあります 。ヘアカラーやブリーチの最中または直後にボンドビルダーを使うことで、ダメージを大幅に軽減できるため、最近では多くのカラーリストがブリーチ剤や染料にこれらを混ぜて髪を保護しています。またK18のようにペプチドを使って別のアプローチで髪の構造を修復しようとするブランドもあります。これらの処置は魔法ではないので、極度に傷んだ髪が元通りになるわけではありませんが、それでも施術後に「思ったより髪がしっかりして柔らかい」「切れ毛が減った」と感じるケースが多いようです。
ハイテクな補修に加えて、日頃の優しいケアも欠かせません。シャンプーは低刺激で硫酸系成分無配合(サルフェートフリー)のものに替えましょう(ダメージ毛は乾燥しやすく、水分も漏れやすいので、洗浄しすぎないことが大切です)。毎回の洗髪で、リッチなコンディショナーを使用してしっかり髪を保湿・保護します。髪の扱いも慎重に。濡れた髪は目の粗いコームでとかし、弱った毛には負担となるきついヘアスタイル(ポニーテールなど)はなるべく避けましょう。熱スタイリング(ドライヤーやヘアアイロン)の頻度も減らすか、使用時は必ず耐熱スプレーを使い低めの温度に設定してください。熱はダメージ毛にさらに負担をかけてしまいます。毛先がどうしようもないほどボロボロの場合は、思い切ってカットするのも一つの手です。その方が髪全体の見た目や触り心地がむしろ良くなります。そしてもちろん、しばらくは新たな薬剤処理を控えて、髪に休息を与えましょう。適切なケアと最小限の負荷で時間をかければ、化学的に傷んだ髪の見た目は徐々に改善していきます。新しく生えてくる髪は健康そのものですから、少しずつダメージ部分をカットしていくことができます。いわば髪のリハビリです。焦らず手をかけてあげれば、あなたの髪はきっと元の元気な状態を取り戻してくれるでしょう。