きつい結び目が招く抜け毛:牽引性脱毛を防ぐヘアスタイル術
きつい結び目が招く抜け毛:牽引性脱毛を防ぐヘアスタイル術
髪をいつもきつく結んだスタイル――例えばピンと引っ張ったポニーテールや三つ編み、お団子ヘア、コーンロウなど――にしていると、生え際の毛がだんだん薄くなってきたと感じるかもしれません。これは牽引性脱毛症と呼ばれるタイプの抜け毛で、「引っ張ることによる脱毛」という意味です。毛根が常に引っ張られることでダメージを受け、髪が抜けてしまうのです 。症状はこめかみや頭の縁(前髪の生え際や三つ編みを編み込んだ部分など)に薄毛や脱毛として現れやすいです。
牽引性脱毛症は、日常的に髪を強く引っ張った状態でまとめている人なら誰にでも起こりえます。しかし特に顕著なのは特定のグループです。例えば、髪をタイトに編んだりエクステを装着したりすることが多いアフリカ系の女性では、牽引性脱毛症の発症率が非常に高く、研究によれば最大で3人に1人程度に達するとの報告もあります 。また、いつも髪を引っ張ってまとめる必要がある職業や競技(バレエで常に髪をお団子にする場合など)の人もリスクが高まります。朗報なのは、初期の段階であればこの種の脱毛はたいてい元に戻せるということです 。早めに気づいて髪を引っ張る習慣をやめれば、毛根が回復し、また髪が生えてくる可能性が高いのです。
予防と改善の要は、髪と頭皮への物理的な負荷を減らすことです。三つ編み、コーンロウ、エクステ、きついポニーテールなどをしている人は、定期的に髪を解放して“休ませる”時間を作りましょう。例えば、何日かおきには髪を下ろしたり、緩めのスタイルにしたりするのがおすすめです。髪をまとめるときも、編み込みは少しゆったりめに、できれば太めの束で行い、生え際を極端に引っ張りすぎないようにしましょう。また、毎回同じ部分に負担がかからないよう、ヘアスタイルをローテーションするのも有効です。例えば、分け目を時々変えてみたり、ポニーテールの位置を高い位置ばかりでなく低めにしたり、ゆるい三つ編みにしたりと変化をつけてみてください。
ヘアアクセサリーにも気を配りましょう。固いゴムやきついクリップは髪を切ったり引っ張ったりしやすいので、代わりにシュシュのように柔らかい素材のものを使うと良いでしょう。編み込みやエクステを付けている場合は、推奨される期間以上つけっぱなしにしないことや、装着時に無理な引っ張りがないように美容師に調整してもらうことも大切です。すでに髪が薄くなってきていると感じたら、ただちに髪を引っ張るスタイルを中止し、毛根の回復に努めてください。負荷をかけない優しいケアを数ヶ月続ければ、髪が再び生えてくることもあります。牽引性脱毛症について皮膚科医がよく勧めるのは、牽引の原因を取り除いた上で、発毛を促す局所用ミノキシジルなどの治療を併用する方法です。長年引っ張り続けて毛根が瘢痕化してしまった場合は完全には戻らないこともあるため、やはり早めの対処が肝心です。要するに、髪をいたわってあげましょう。髪型に少しゆとりを持たせるだけでも、将来、髪がちゃんと残っていてくれるはずです。