フケが止まらない理由と、今日からできる頭皮リセット
肩に落ちる雪のようなフケは、せっかくの良い一日を台無しにしかねません。フケは非常に一般的な頭皮のトラブルであり、専門家によれば成人の約半数が経験するとされています 。頭皮のかゆみやフケに悩んでいるのはあなただけではありません。そのフケがなぜ生じるのかを理解することが、対処の第一歩となるでしょう。
フケが発生するのは、頭皮の古い角質が剥がれ落ちるサイクルが異常に早まってしまうときです。その背後にはマラセチア菌と呼ばれる小さな真菌(酵母菌の一種)が関与している場合がよくあります。マラセチア菌は頭皮の皮脂を栄養にして繁殖し、頭皮が脂っぽい状態だと急速に増殖することがあります 。この菌が増えすぎると頭皮を刺激し、正常な細胞の生まれ変わりリズムを乱してしまいます。その結果、本来なら目立たずに剥がれ落ちるはずの古い頭皮の細胞が塊となり、白いフケとして目に見える形で落ちてくるのです。頭皮が非常に脂性だったり、シャンプーを長期間しないで皮脂が蓄積していたりするとフケが悪化しやすいのは、頭皮が文字どおりマラセチア菌の“ごちそう”になってしまうからです。
こうして発生したフケは、見た目の不快さだけでなく頭皮のかゆみや炎症も引き起こしがちです。かくと一時的に楽になりますが、さらに炎症が悪化する恐れがあります。幸いなことに、フケそのものは医学的には大きな害を及ぼすものではありません(不快で見た目に困る問題ではありますが) 。そして適切な方法でコントロールすることが可能です。たとえばピリチオン亜鉛、硫化セレン、ケトコナゾールなどの抗真菌成分を含むシャンプーはマラセチア菌に作用し、フケを大幅に減らす効果が期待できます。
さらに興味深いことに、最近の研究によりフケの原因に対する見解が変わりつつあります。長らくマラセチア菌だけが焦点とされてきましたが、近年の研究では特定の細菌もフケに関与している可能性が指摘されています 。例えば2020年のある研究では、フケに悩む人の頭皮ではスタフィロコッカス・カピティス(ブドウ球菌の一種)の量が健康な頭皮の約100倍にも達していることが報告されました 。この発見は、フケ発生には真菌だけでなく細菌も頭皮のバランスを乱す一因となっていることを示唆しています。今後は、真菌を除去するだけでなく頭皮の微生物バランス(マイクロバイオーム)を整えるタイプのシャンプーや治療法が開発される可能性もあるでしょう。
それでも当面は、地道で丁寧なケアによって多くの人がフケを抑えられます。皮膚科医は、頭皮の余分な皮脂やフケを取り除くために、低刺激のシャンプーで定期的に洗髪することを勧めています。実際、洗髪の頻度が少ないほどフケが悪化しやすいことが知られています 。ですから、質の良いフケ防止シャンプーで普段よりこまめに髪と頭皮を洗うことをためらわないでください。正しいお手入れを続ければ、厄介な“白い粉”も目立たなくなり、髪のおしゃれを台無しにすることも減っていくでしょう。